2026/09/18

日本企業6社に賠償請求、歴史問題と政治的思惑の深層


訴訟の概要と内容

中国人被害者の遺族ら50人は、日本企業6社(大成建設、日鉄鉱業を含む)に対し、損害賠償を求める訴状を2024年9月16日に河北省石家荘市の高級人民法院に提出しました。

訴訟における請求および主張の内容は以下の通りです。

  • 1人当たり計約37万元(約856万円)の賠償金
  • 日中少なくとも10社のメディアへの謝罪文掲載
  • 父親や祖父らが河北省から強制連行され、過酷な労働を強いられた事実
  • 被害者本人だけでなく遺族にも甚大な被害をもたらしたことへの強調

中国政府および外務省の反応

中国外務省は、日本の軍国主義による強制労働を、対外侵略と植民地支配の期間に犯した「重大な罪行の一つ」と断定しています。同省は日本に対し、歴史を直視し、罪責を反省することを求めました。あわせて、アジアの被害国の正義の叫びに耳を傾け、歴史問題に対して責任ある態度で適切に処理するよう要求しています。

中国政府(習近平指導部)は、外交問題に絡む戦後補償の集団訴訟を「政治判断」としてコントロールする仕組みを持っています。裁判所の訴状受理の最終判断は指導部が行う仕組みであり、民間の賠償請求を制限なく認めれば、日中関係の悪化や社会の不安定化につながるため、事実上訴訟を管理してきました。

この仕組みの具体的な事例として、2014年に三菱マテリアルなど2社に対する強制連行訴訟の受理を容認し、2016年には三菱側と中国人被害者3,765人との間で和解が成立したことが挙げられます。

こうした一連の動きの背景には、戦略的な意図も含まれています。昨年11月の高市早苗首相による台湾有事に関する答弁以降、歴史問題を絡めた日本批判が激化しています。集団訴訟を容認することで、日本企業への圧力や対日圧力の新たな手段として利用する可能性も指摘されています。

日本政府の立場

日本政府は、1972年の日中共同声明により、国家間だけでなく個人の賠償請求権も放棄されたという立場を堅持しています。これに対し、中国外務省は日本政府の解釈を「無効」と主張しています。