2026/07/09

灯と糸の庭

記事イメージ
※画像はイメージです。本文と直接の関係はありません

薄曇りの空の下、石庭に腰を下ろす。風が葉を撫で、静かにたゆたう。薄暗さのような形が現れ、眉が揺れ口が開く。小さな策を思いつく。枝に花を結び、淡い明かりがちらつくと、虫が近づく。月の明かりに照らされた小さな結晶をひらの先で取る。ひんやりとした感触に、カチリと乾いた響きがした。転がすと明かりがちらつき、薄暗さがたゆたう。秋の風がやさしく、門をくぐると苔むした石畳が続く。そこに古びた台座と編みかごがある。かごの口がゆっくりと開く。内部から柔らかな明かりと遠くの風のささやきが漏れた。「ありがとう、君の温もりだけが残った」ささやきは庭に響く。締め付けられたと、ひらの先に明かりが走った。私は糸の球だと悟った。遠い誰かの爪で回された思い出が、現在の様子を作っていた。かごが笑みを浮かべ、布がそよぐ。すると、庭がやさしい暖かさに包まれ、明かりと薄暗さが交わった。残されたのは、忘れられた「柔らかな暖かさ」だけ。はるかで幼い笑いが聞こえる。実は私、毛糸の球で、庭は小さな遊び者の場だったと悟ると、自然とにやりと笑みがこぼれる。