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銀の輪は古びた文書に絡み、鈍い揺れだけが伝わる。先端でそれをつかむと、ただの結び目に思えた。
黄ばんだ本の隣に折れ葉が挟まれ、読めぬ符号が浮かび上がる。軽く撫でて紙面をめくると、淡く「助けて」と浮かび、再び鈍い揺れが走った。その呼び声は、所有者が自らを救うために仕掛けた逆説的な罠の合図だった。
薄い葉の擦れと秒針の刻みが混ざり合う空間で、葉を確かめると暗号が隠し容器の位置を示すと悟る。しばらくして、他の研究者が机に座り、葉を衣の裾に隠した。その時、机の下に小さな開口部が開き、古びた硬い容器が現れた。
容器の中には開閉装置と、長く失われた記録が収められていた。記録の終わりに、銀の輪が監視装置だったと示されていた。所有者は行動を記録し、輪に小さなチップを埋め、葉に暗号を隠した。私が触れるたびにデータは他の場所へと送られ、読んでいるあなたの端末にも流れ込んでいる。
この物語は見えない端末へ送られた情報だ。本を閉じても、あなたの側に小さな振動が残る――それが私のささやきである。