しとしとが止んだ後、鈴の鳴りが響くと、玄関先に小さな入れ物が置かれていた。蓋を開くと、ミントの甘い芳しさが漂うスイーツと、筆で書いたレシピカード、芳しいコーヒー豆、裏に淡く「五つの花びら」と書かれた紙が見える。その下に、細い字で「小さな種が五つ、育てると…」とだけ記された薄い葉書が潜んでいた。
レシピ通りにミントと砂糖を鍋に入れ、蒸気が立ち上がる。豆を挽き、熱い湯を注げば、濃い液が腕先を温める。カップの底に貼られた葉書には「裏庭の桜の木、花が咲くまで水やりを忘れないで」とだけ書かれていた。
裏庭は雑草に埋もれ、スコップで土を掘り起こすと、銀色にきらめく黒豆に似た小さな種が姿態を現した。その種は、まるで夜空の小さな煌めきが落ちたかのようにきらめき、桜の芽が宿るかのように見える。驚きながら種を植え、水やりを続けた。やがて、露がきらめきに溶け込む中で芽が姿態を出し、白い小さな花が咲いた。その花は桜の淡い芳しさを帯び、甘い芳しさがそよぎに乗って庭いっぱいに広がった。
花の下には、妖精のように小さくて透明な存在たちが集まり、スイーツを分け合いながら笑顔で語り合っていた。彼らの笑いは、まるで小川のせせらぎのように庭に鳴り、温かさが広がっていく。
五つの種が揃うと、近所の老夫婦から桜餅のカードが届いた。カードの裏にはほんのり桜の芳しさが漂い、春の訪れを告げていた。「五つの花びら」の意味は、五つの芽が新たな段階への招待状になるという、静かな約束だった。
カードを大切に抱きしめ、彼は柔らかな笑顔を浮かべた。あっという間に、カードの裏に小さな文様が浮かび上がった。「あなたが作る番です。」葉書が、遠い季節からの便りだったことに気づくと、彼の腕元に新たな小さな入れ物がそっと現れた。そこには、やがて訪れる季節へと続く新しい種と、また別のレシピが忍んでいた。