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七彩の飾りがそよぎに揺れ、桜の淡い白が川面に柔らかな波紋を描く。灯は歩みを止め、何かを探すように身をすくめた。遠くで鐘が鳴り、余韻が路地に漂う。その鳴りに導かれ、灯は川岸へと向いた。
そこには薄く白く照らす羽根の群れが舞っていた。羽根は桜の花びらと見間違えるほどの白い粒を散らしながら、そよぎに乗って灯の近くをすり抜けた。灯が羽根に伸ばすと、遠い時の光景がよみがえる。母と一緒に作った人形の羽根だと、確かな感情が鳴った。
羽根は川の向こう、山の斜面へ続く小道へと消えていく。灯は小道を登り、雲が低く垂れ込めた場所にたどり着くと、錆びた容れ物が淡い白さを漏らしていた。灯は容れ物に伸び、静かに開くと、古い布切れと色あせた布団の端が揃っていた。布に触れ、灯は幼き時の母と人形の微笑を思い出す。母の温もりと、布に染み込んだ桜の甘い漂いが体に満ちた。
その時、羽根に触れた瞬間、母の温もりが灯を包み、涙がこぼれた。灯は布切れを抱きしめ「戻って来た」と呟くと、はるか彼方の鐘が再び鳴り響いた。町は見えない糸で灯を迎えるように、静かに揺れた。
灯は七彩の飾りと桜の白さの間に立ち、微かな歌が聞こえた――それは、かつて灯が残した帰り道の歌だった。だが歌の終わりに、そよぎがささやく。「もう一つ、忘れたものがある」――灯は布の裏に隠された小さな青い種を見つけ、深部で何かがはじけた。その時、再び旅立つ決意が感情に宿った。
羽根の正体は、灯がかつて作った人形の羽根の残りで、母と過ごした時の温もりを宿していた。種は、灯がまだ知らない新しい道を示す灯火で、やがて青い花が咲く予感を漂わせていた。灯は微笑み、静かに歩みを再び始めた。