タイトル: 二つの円の約束
プロメテウス火山の麓、夕陽が岩肌の大きな穴を朱に染めていた。潮の匂いを運ぶ海風が頬を撫で、胸の奥がざわめく。遠くで聞こえる波の音は、まるでディズニーシーの夜のショーの前奏のように、心を揺らした。
「ここは秘密基地だ」幼なじみの声が笑いながら響く。その横顔は、三年前、迷子の私を探し出してくれたときと変わらないままだった。彼は指さす先に、二重の円が残っているのを指摘した。浅い円は表層、深い円は掘り進めた痕だ。
「左肩に手を置いて、昔の名前を呼んでみて」彼は低く言った。私は左肩に手を当て、幼い頃の自分の名前――「ユウ」――を呼んだ。声は岩壁のくぼみに吸い込まれ、柔らかく返ってきた。
その瞬間、背後に同じ姿の笑顔が浮かんだ。だが、目は少年のそれではなく、私が三歳のときに鏡に映した自分の瞳だった。小さな私が、時間の影から這い出したかのように微笑む。
「お久しぶり」――その声は、幼い私のものだった。彼の声は遠くでかすかに残り、子どもの声だけが岩壁に反響した。目が合うと、二人だけの約束が胸に広がった。
「覚えていてくれた?」と彼は尋ねた。私が頷くと、夕陽が二つの円のように影を伸ばすのが見えた。すると、岩壁の反響が変わり、私の名前ではなく、別の名前が返ってきた。
「…ミナト」――聞き覚えのない声が揺れた。その瞬間、彼の眉が少しだけ揺れた。ミナト――それは、私たちが子どもの頃、海辺の砂浜で作った小さな港の名前だった。彼は遠い記憶の中の海辺を思い出したように、静かに笑った。
「ミナト…」と呟くと、彼の姿は次第にぼやけ、代わりに幼い私がそこに立っていた。小さな私は優しく言った。「ここは、忘れた記憶を呼び戻す場所。約束は、誰にも言わないことだけど、君はもう一人じゃない。」言葉と同時に、岩壁の奥から淡い光が漏れ、二つの円がゆっくりと閉じていく。
左肩の温もりが胸に残り、鼓動が高まる。過去と未来が交差したこの場所で、私たちは新しい約束を交わした――それは、忘れた自分を取り戻すこと、そしてまたここで会うことだった。
円が閉じた瞬間、岩の裂け目から小さな地図が現れた。そこには、ディズニーシーの海底トンネルへ続く秘密の入口が描かれていた。波の音が一層大きくなり、私の足元に新しい道が開いた。――もう一度、あの光と音の世界へと。
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